惟任日向守光秀

日本中世史における明智光秀の実像

明智資料⑰


母衣とは、甲冑の背中につける、縫い合わせた長い布で、騎上の武士
を流れ矢から守る、実用的な装備でありました。

母衣を身に着けて戦死した武士の首は、母衣で包むのが、敵味方とも
に決まりでした。

騎射が廃れた、応仁の乱以後は、装飾的な視覚効果を狙ったものへと
変化し、布内に竹枠をいれ、常時膨らんでいる状態となりました。

味方から識別しやすいので、本陣と前線のあいだを行き来する使番の軍
装となり、母衣衆と呼ばれ、名誉の証でしたが、敵方の鉄砲の標的にな
りやすく、危険極まりない職務でもありました。

母衣を着けた武士
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