濃州余談㊸
健さんが逝ってしまった。
薄っぺらな時代の中でも、彼なりに目指すものがあったのだろう。
行く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし。
の銘として、生き抜いた役者人生であった。
緒方拳の 不羨富 不憂貧 と相通ずる言葉であり、、両者の心
の中に秘められた崇高さと、表現者としての覚悟が感じられる。
奇をてらい、饒舌さとペテンさのみが目に付くこの時代で、本物が
消えてしまった。
しかし健と拳らが作った世界観は映像の中に残存する。
今後も、この国に生まれて良かったと思える人物像を演じられるよ
う、人生を愛する心、感動する心を養い続けたいと思います。
本当の自分と乖離する人物像を演じる事で、真に自分と向き合う
役者の清貧さと、その持つ意味を、言い当てた言葉である。