惟任日向守光秀

日本中世史における明智光秀の実像

濃州余談㊸

 

健さんが逝ってしまった。


薄っぺらな時代の中でも、彼なりに目指すものがあったのだろう。

行く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし。

延暦寺大行満大阿闍梨酒井雄哉から受諾したこの言葉を座右
の銘として、生き抜いた役者人生であった。


イメージ 1













緒方拳の 不羨富 不憂貧 と相通ずる言葉であり、、両者の心
の中に秘められた崇高さと、表現者としての覚悟が感じられる。

奇をてらい、饒舌さとペテンさのみが目に付くこの時代で、本物が
消えてしまった。

しかし健と拳らが作った世界観は映像の中に残存する。

健さん文化勲章を受章した時こう述べている。

今後も、この国に生まれて良かったと思える人物像を演じられるよ
う、人生を愛する心、感動する心を養い続けたいと思います。

本当の自分と乖離する人物像を演じる事で、真に自分と向き合う
役者の清貧さと、その持つ意味を、言い当てた言葉である。



イメージ 2