惟任日向守光秀

日本中世史における明智光秀の実像

本能寺襲撃の謎にせまる(四人の天下人㊱)


本能寺襲撃後、四ヶ月を経ずして書かれた「惟任退治記」の中で、作

者大村由己は齋藤利三の事を、その最後とともにこう述べています。

利三平生所嗜。非啻武藝。外専五常會朋友。
内翫花月。學詩歌。今何為逢子戸此難。

秀吉の宣伝相大村由己が、利三の事をこのように述べているのをみ
ても、利三は文武両道に優れた人であったようです。

五常とは人の常に守るべき五つの道徳を指し、仁・義・礼・智・信をい
います。武芸に優れ、五常を専らとし、友人とするにふさわしいと述べ
ています。

風流を愛で、詩歌を学ぶとあり、雅な都人のイメージもあります。
さすが、春日局の父親だけのことはあります。

しかし大村由己らしく、京童の囃し立てる次の落首を添えます。

合戦ニ負ケ、雙六ノサイトウハ
七目ククラレハチヲコソカケ

齋藤利三は、光秀にとりかけがえのない武将だったようです。


齋藤利三書状(石谷光政宛)
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